王の帰還の感想

さてでは詳細な感想など。
完全にネタバレなので、映画を見るからネタバレは読みたくない! という人はスキップ推奨です。


じゃあまず、キャラクタ別に感想でも。

  • フロド

一応主人公。まぁ原作読んでる人間にとって、最後の方は見せ場があまりない、というのは分かっていたことではありますが。
最後の最後、西へ旅立つところまでやってくれて感無量、といった感じですね。その分後ろの方がかなり駆け足になったのは残念ですが……まぁ全体の分量からみたらしかたないのかな、と。
ただ、映画だけだとなぜフロドが西へ旅立つのか、という説明が足りないのが気になりました。というか、字幕も吹き替えもあそこのフロドの台詞、
「We set out to save the Shire, Sam... and it has been saved. But not for me.」
のBut not for me を訳してなかったような。これがあればまた違うと思うのになぁ。

  • サム

真の主人公。まぁ原作を読んでる人間には、最後の主役は彼だ、というのは分かっていたことではありますが。
最後の最後、「I'm back」で物語が終わったのはよかったなぁ。
もちろん、終盤の活躍も目を離せないところです。一人でシェロブの婆さんを撃退し、オークを蹴散らしといった戦闘面の活躍も目を見張る物がありましたが、フロドとの友情がねぇ。
特に終盤のフロドを背負うシーン。こういう展開、弱いんだってば。泣きそうになってました。

  • メリー

ローハンに残った方のホビット
でもセオデン王に忠誠を誓ったりするシーンがごっそり削られていたのは、残念なことこの上ないです。SEEで復活させてくれるんだろうか……?
でも原作通り、ナズグルの首領に一太刀浴びせていたのはよかったなぁ。

ゴンドールに連れて行かれたホビット
こちらは大活躍でしたね、色々と。
特にデネソールの前で歌うシーンは、歌声も内容もよかったです、はい。
そうそう、この二人のシーンで一番グっときたのは、黒門のシーンかな。アラゴルンの「フロドのため」に次いで駆け出すのがこの二人。友情、だねぇ。

世間一般の魔法使い像を破壊したスーパー魔法使い。特にミナス・ティリス防衛戦で、櫓から乗り込んできた敵を剣と杖の二刀流でなぎ倒していくシーンは、凄すぎて逆に笑っちゃいましたよ。
本当はこれに、ナズグルの首領と戦って杖を折られるシーンが加わるはずだったとか。見たかったなぁ……。

王の帰還」の王様……のはず。でも今回の活躍はあまりなかった感じがします。おいしいところだけさらっていった、っていうか。
もちろん、死者の道に入って、不死の軍団を従えてくる、っていう偉業を成し遂げてはいるんだけど……これは演出の問題かなぁ。不死の軍団の登場の前に、一つタメが欲しかったような。本来、人間達へのだめ押しとなる軍団が、一気に大逆転される場面だからねぇ。まぁこれは原作を読んでるからかもしれないけど。
そうだ。「王の手は癒しの手」のエピソードが削られているから、そう思うのかもしれない。あれも好きだったんだけどなぁ。というか、あのシーンがないと旅の仲間のアセラスの件が伏線にならないような。
うー、やっぱりSEE待ちかねぇ。

今回も戦闘の見せ場で活躍してましたなぁ。オリファントに一人で取り付き、倒しちゃうし。
でもそれしか見せ場がなかったような。アラゴルンよりも目立ってなかったですねぇ。

戦闘シーンではレゴラスより目立ってませんでしたね。でも要所要所で何かしらツッコミを入れたりしてたんで、レゴラスよりは印象に残ってるかな?
黒門攻撃を決意するシーンとかね。
まぁこの二人はそれでセット、のような。首級を競い合ったり、最後の友だったらそれも悪くない、の件とか。

  • ゴラム

今回の影の主役。CGとは思えない演技力はすごかったですね。サムを罠にはめたときのあの嫌らしい表情と来たら、本気で憎らしく思ったくらいです。
あと、せっかくスメアゴルとの二重人格っぽさを途中まで描いていたのに、最後の方でそれが出てこなくなってしまったのは残念ですね。(多分、フロドの口から指輪を破棄する、と聞いた時点で、スメアゴル=ゴラム=指輪は自分の物、という意志で同一されるものになってしまったんだと思うけど。
しかし残念なことが一つ。やっぱり一番最後、落ちるシーンでは「愛しいしと!」と叫んで欲しかったなぁ。……でもまぁ、指輪を手に嬉しそうに落ちていくゴラムというのも、それはそれで。

  • アルウェン

ヒロインその1。うーん、微妙だ。まぁ原作だとまったく出番がなくて最後に唐突にアラゴルンと結婚してたから、それに比べればマシだと思うんだけど。
最後のキスシーンがあちこちで話題になってるけど……まぁエルフ(不死なるもの)から人間(限りある命のもの)への変化ということもあるから、あれでいいんじゃないでしょうか。

  • その他エルフ

今回はエルロンド様が打ち直したアンドュリルを持ってきたり、ガラドリエル様が幻影でフロドを励ましたりと、色々と活躍しててよかったですなぁ。
しかしガラドリエル様、その笑顔は怖いです、ええ。

  • ローハン勢

とにかく格好よかった。特にミナスティリスでオークめがけて突撃するところ。
セオデン王の演説から軍が動き出し、大きな流れとなって突進していくところは何故か燃えるあまり泣きそうになってしまいました。
それからエオウィン対ナズグルの首領のところ。原作通りの展開で燃えたっ! 彼女はオリファントを馬に乗ったまま倒してたし、今回普通の人間では一番活躍したんじゃないでしょうか。というか、あんなに強かったとは……。
それに比べて、エオメルの見せ場が少なかったのが残念。それでもオリファントの乗り手を、投げ槍で倒したりしてたんだけどねぇ。

  • ゴンドール勢

あまりに不憫なファラミア。いいところ全くなし。原作だとエオウィンといい仲になるんだけど、その件が全部カットされちゃってるし。
さらに不憫なデネソール。あれじゃあただの変な人だよ。本当はパランティアを見てしまい展望に絶望したあげくの事なのに、変な面ばかり強調されてたしなぁ。最後は炎に包まれたままミナスティリス屋上からダイブするし。

  • 敵勢力

クリーチャーがすごかったねぇ。ナズグルが乗る飛竜とか。オリファントとか。でも一番すごかったのは、それらが違和感なく存在した、ということでしょうかね。CGかどうか、なんてわかんなかったよ。
あと、やけに格好良かったのがオークのリーダー。飛んできた岩を紙一重で避けてつばを吐いてみせる、とか。
それから、ナズグルの声、うるさすぎ。特に音響設備の良い映画館だと、本気で耳を塞ぎたくなりました。

今回は目玉だけ。しかもサーチライトっていうか、そんな感じだし。むしろコミカルな感じでした。

  • その他

キャラクタには関係ないけれど、烽火をリレーするシーン。あんな雲の上じゃああそこまで勢いよく燃えないんじゃぁ……と思いつつ、その壮大さに圧倒されていました。


総括すると……
やっぱり「すごかった」としかいえないよなぁ。
上で書いたように、色々ツッコミどころはあるんだけど、それでも全体で見たら気にならない、っていうかなんていうか。
あぁ、終わってしまったんだなぁ……。


まぁ原作でも読み返してみますかねぇ。きっと新たな発見があるんじゃないかな。