第13回:戦場

この時点でそろっている素材は以下の通り。

  • シナリオテキスト7割
  • BGM8割
  • 背景画5割
  • 立ち絵5割

結構進んでいるように見えるかもしれない。後は足りないものを揃え、これらの素材を結びつければよいだけに見えるかもしれない。
しかし実際にこの2週間(最低限動くようにするまでは1週間)、自分が行った作業には、こんなものがある。

  • シナリオテキスト→スクリプト変換ツール作成
    禁則文字の判断と会話文の行頭処理と改行の挿入を自動で行う。また、指定箇所にCG、BGMのスクリプトを挿入する機能を付加したメモ帳の作成
    各処理はある程度出来ているが、これを他人が使える程度には整備する必要がある。
  • シナリオテキストのスクリプト化実作業
    テキストを解釈し、その場面に相応しいCGや音楽を選択し、それらを表示・演奏するスクリプトを挿入していく。当然、どういうCGやBGMがあるのか事前に把握し、最適なものを選択できるようになる必要がある。一番表情が多いキャラクタで、20パターンほどはあっただろうか。これを、不自然にならないような頻度・順番で変更していく。実質的には、演出をしているようなものである。
    自分の他にもう一人この作業をしてくれるというので、自分の担当が全分量の3/4程度。
  • エンディング(スタッフロール)作成
    ヒロイン3人、そろぞれ異なる順番でスタッフロールを流す必要があった(ヒロインごとに担当した絵描きが違うため)。
    もちろん、表示の切り替わりはBGMと同期を取り、終了のタイミングを合わせるようにする必要があった。
    また、バッドエンドのヒロインに関しては、また特別な画面効果を要求された。
  • イベントCG閲覧機能の作成
    よくゲームについている機能ではあるが、これを実現するためにはスクリプトの貧弱なプログラム機能を駆使して、自分で作る必要がある。
    もちろんこのため、すでにシナリオ中で見たCGを管理する仕組みも組み込む必要がある。
  • BGMの切り替え機能
    当初の予定ではBGMはMP3で提供する予定だった。しかし、一部の低速な環境では正常に動かないため(エンディングで、画面との同期がとれなくなる)、急遽MIDICD-DAでの両対応することに変更された。この切り替え部分もあるが、MP3で提供されたデータをCD-DAとして使えるように変換するという面倒な作業もあった。

実際にはこれらの作業を行いながら、他のメンバーとコミュニケーションをとり、不足している素材の提供を依頼し、おだて励まし士気を高め、といったことも行っていた。前出の通り士気を上昇させるには、実際に動くものを見せ、完成に向かって近づいているということを実感させるのが有効である。毎日毎日、ある程度きりのいいところまで出来たら形を整え、メンバーに見せられるようにサーバにアップロードする、というのも結構手間のかかる作業ではあったが、それだけの効果はあった。
ただ、この時のことで一つ。一応一通りテキストとCGと音楽と連動させたものを作って公開した時の事。それを見たある絵師の第一声は、「音楽の切り替えが多すぎて落ち着かない」であった。かなりやる気を削がれた発言であったことを覚えている。これだけの速度で作業しているのだ。感嘆の一つも欲しかった、というのは贅沢なのであろうか。