第15回:完成
サンクリを前にして一応動くものはできた。僕はこれをβ版と位置づけた。ゲームとしての全ての流れは完成しているし、一通り遊ぶことはできるが、画面演出やシナリオの調整が全く出来ておらず、誤字脱字のチェックも不完全だからである。とはいえ、イベントに出すには十分と言えるだろう。
しかし、必要な作業はまだある。
- CDのデュプリケート
今回売る予定だったのは50枚(だったか100枚だったか)。これを一つ一つ手作業で焼く必要がある。もう一人手伝ってくれたので自分の割り当ては半分であるが、それでも25枚である。しかも、高速な書き込みは使えなかった。CD-DAの書き込みはナイーブな部分があり、あまり高速な書き込みを行うと、ノイズが入ってしまうのである(今はどうかわからないが、当時はそれが定説であった)。低速で焼くため、どうしても物理的に時間がかかってしまった。 - スリープの印刷
スリーブとはCDケースに入っている紙のことである。CGに関しては絵師が用意してくれたが、印刷してケースに1枚ずつ入れるのは手作業である。印刷自体それなりに時間のかかるものだし、印刷したものを適切なサイズに切るのも、もちろん手作業だった。 - 焼いたCDのテスト
CDの作成はイメージを作ってから行ったので、ファイルレベルでの不足が生じる可能性はなかったが、それでも焼きが正しく行われているか、CD-DAが雑音なく聞けるかは実際に焼いたものを試してみる必要がある。全てを試すことは出来ないので、何枚かをランダムに抜き出して、テストを行った。 - 会場で使う小道具の用意
会場で必要となるものを用意した。作ったものはポスター(とは言っても、スリーブに印刷したCGと一緒に値段を印刷した紙を用意した位ではあるが)くらいであるが。本当は、ゲームの内容を明記したものが欲しかったのだが、さすがにそこまでは手が回らなかった。
こうして一応出来る限りの準備を行い、サンクリに参加した。本当は疲れ果てていたのでイベントなどには行きたくなかったのだが、サンクリで頒布するCDは僕が半分持っているのだ。行かざるを得なかった。