第19回:余録

何年か後、結局β2のまま、フリーソフトとして公開したことを聞いた。公開を始めてから数ヶ月後のことであったが。例え僕が作業した部分が世間一般から直接的に評価されない部分だとはしても、やはり関わったものが世に出るというのは嬉しいものだ。ネットを彷徨えば感想を見ることが出来るが、一応、当初の目的は果たしているようで、それに関しては満足である。僕の読みは間違っていなかったのだ。
あの時の無茶は、今も体を蝕んでいる。特に1年くらいは酷かった。疲れていても、夜眠れなかったりする。眠れても3時間〜4時間半で目が覚めてしまう事が多い。その分、昼間無性に眠くなったりする。全てはあの2週間からのことだ。そんな状態は当然仕事の方にも影響はする。その年の昇給はなかったように記憶している。
β2用に購入したCDは、未だに会社の引き出しの中に眠っている。計100枚のケース付きのCD。持って帰るには重すぎる。他にも通販をするという話もあったので、郵送用のセットを購入した。これは家で使われるあてもなく眠っている。当然、これらの費用はどこからも充当されていない。
今現在、いくつかのゲーム制作に関わっているが、結局その管理作業にまで口を出していない。そのゲームが出るも消滅するも、全ては主催者の心づもり一つ。無理矢理延命しようとして、このプロジェクトのような目に遭うのはもう勘弁、といったところか(それに幸いなことに、みな順調に作られているし)。だから、自分の作業分担と期日をはっきりと聞き、それ以上のことはやらないつもりだ。