うたわれるもの 1話〜9話

うたわれるものは、PC版をリアルタイムで遊びました。かなりはまりましたね。ゲーム中のテキストを引っこ抜くツールを作ったりもしました。一応今回は視聴前にこのテキストを一通り読んで、おさらいしています。

全体

基本的に原作の流れに沿いながら、各エピソードをアニメに応じた形で手を入れています。例えばエピソードの順番を入れ替えるとか。いくつかのエピソードを纏めた形にしている、とか。これが今のところ、とてもうまく機能していると思います。
また、原作はかなりコメディな要素が含まれていますが、これが軽減されています。シリアスな方向を強く出していく、という方針なのでしょうか。まぁコメディな部分をやりすぎると、せっかくの世界観も崩壊するし、これはこれでいいんじゃないかと思います。
キャラクターに関しては、今のところ大体自分の思ってた通りの雰囲気ですね。ハクオロが少々まじめすぎる、というか、感情が出ていない感じがしますが、11話でそれが逆に効果的に使われてる、とも聞きますし、想定の内なのでしょうかね。
あと、村人とか、兵士とか、人がたくさん出てくるのが、とてもよい感じです。ゲームだと、例えば「ヤマユラの村」と言われても、それがどれくらいの規模の村なのか、とか全然わかりませんからねぇ。戦いのシーンも、こうやって群衆を見せてくれると、反乱軍vs国、というのが実感を持って見えてきます。ゲームだと、結局戦うシーンは数人対数人のチップキャラでの戦いですからねぇ。

オープニング

曲がいいですねぇ。かなりお気に入り。
最後の方、どうみても世界観にそぐわないものが出てきてるんだけど、ゲームをやってない人にはどういう風に映ってるんだろう……?

エンディング

壁画風の絵が……これまたなんというか、ラスト辺りの話に直結する絵だったりしますね。歌もそれにとても合っているように思います。

1話

いきなり最初に映るものは、ハクオロ(この時点ではただの「男」)の正体の伏線なのですが、わざわざそんなものを独自に追加したり、後半の部分で「神はそんなことで腹を立てない」なんて台詞を挿入したり(その直後にエルルゥを映したり)と、かなりシナリオ全体を分かった上で色々考えてやってるなぁ、という感じです。
ヌワンギがただのチンピラになっているのが残念。尺の問題もあるから、というのはあるんだろうけど、最初のことのヌワンギは「愛すべき馬鹿」って感じだったんだよなぁ、原作では。それが勘違いと欲望のあまり暴走していく、っていう流れがよかったんだけど、まぁそこまでやれっていうのは贅沢ですね。

2話

原作は、この世界においてはロストテクノロジーにも等しい農耕技術とか、製鉄技術とかを村人に広めて村人の信頼を得ていくんだけど、それを一気にムティカパ様の話でやってしまおう、というエピソードのまとめ具合はよいですね。
村人がたくさん出てきたことによって、「ムティカパはおそれられている存在だけど、敬われている存在でもある」という空気が出ていたのはよかったです。最後、ムティカパに刃を突き立てるシーンなど、特に。
トゥスクル様から鉄扇を受け取るシーンが描かれていたのはいいですね。ただ、あれは刃が仕込んであったり、毒を流し込んで使うような仕組みが組み込まれている、という描写が抜けてしまったのは残念。
そして最後にアルルゥが懐いてくれる、と。確かに、原作は複数の場面の組合わせの最後に、懐いてくれるシーンがある、ってだけだから、こういう形で明確に理由が分かるようにした方が、わかりやすいですしねぇ。

3話

オボロとドリィとグラァ、そしてユズハ。原作のこの関係のイベントを一気に通してやりました、という感じで。
ただ、オボロとハクオロが本気で斬り合う(まぁ斬ってたのはオボロだけだけど)イベントがカットされていたのが残念と言えば残念。やっちゃうと負った傷を治す時間が必要だったりするし、ユズハのところに何度も訪れなくちゃいけなくなっちゃうけど。
他は特にないなぁ。キャラクタ顔見せの意味が多い話だったし。
そういえばベナウィも出てきましたね。なんかイメージより、さらにクールな感じでした。

4話

大きく話が動きます。ここに来るまでに、アニメの視聴を打ち切った人もいる模様。ここからが面白いのに。
それはともかく、トゥスクル様の最後のシーン、夜が昼に変わったせいか、ちょっと軽い感じがしました。まぁゲームのCGもずいぶんと力の入ったシーンだったし。その分、声優の演技で帳消しですが。二人ともキャラクタにあった、いい演技をされますなぁ。
その後、オボロがユズハをハクオロに任せて一人殴り込みをかけるシーン。うーん、3話のイベントが少ないから、「殺したいほど疎んだこともあった」と言われても、ちょっと説得力が薄いんだよなぁ。まぁ、原作をやってるからそう思うのかな。
その後の、決起するシーンもちょっとハクオロの台詞が淡々としすぎていた気が。「倉を……開けろ」とか。特にPCのDVD版は、CD−ROM版に比べてハクオロが悩みに悩んだ末に決断するような描写が追加されていたし。まぁ、キャラクタの内面を描くことが難しいアニメではしょうがないのかな。
最後に、エルルゥの歌うユカウラ(子守歌)が聞けたからよし。これは最後の最後のシーンに繋がるところだからねぇ。

5話

ゲームだとベナウィも単なるユニットなんで、みんなで取り囲んでタコなぐりにすれば終わり、だったんですが、こうやって見ると強いねぇ。
アルルゥの登場も芝居がかった感じで、これはこれで。
で、そんなムティカパを一睨みで黙らせるエルルゥ。このイベントが採用されてて個人的にはとても嬉しかったのでした。

6話

関を落とす話は原作にもありましたが、確か攻撃が終了した後にクロウだけが現れるんだったかな? それに対してアニメは、ベナウィとクロウが関の守り手として登場。でもちゃんとハクオロは、朝日とともに敵の背後からも攻撃を仕掛ける策を用意していました、と。
原作とは違っても、策を使って関を落とす作戦を練っているのがよいですね。
それにしても、多人数対多人数の攻城戦は燃えるなぁ。

7話

ついに攻め落とす話。ゲームでは「戦いがあった」というテキストだけで描写が省かれる多人数対多人数の戦闘が、見応えがあります。ちょっとCGっぽい時もあるけれど。
結局最後まで1対1でベナウィに勝てなかったですね。まぁそれだけ強いということだし。ゲームではほとんど使わなかったけど。
最後のクロウとベナウィのやりとりもいいですね。負けて嬉しそうなベナウィの笑顔がね。アニメオリジナルのはず。クロウの台詞だけ別場面から持ってきたようですが、そういう心配りというか、こだわりというか、そういうのもよいですね。
そして一番最後に、ワーベとウルトリィが出てきましたね。ついでにムントも。ワーベがトゥスクルの名を聞いて驚いてましたが、これはゲームの時から謎でした。が、つい先日、原作のリーフのスタッフの裏話として、理由が明かされました。

■Q.トゥスクルばあさんは何であんな危険なセンスを持ってたの?

●A.おばあさんが若いころ、大きな戦争があったそうです。そんな中、トゥスクルさんはカルラのお父さんを相手に、ゲンジマルとワーベと一緒に第一線で戦っていたそうですよ。毒使いのえらい怖い人だったみたいです。以前楽しそうにシナリオの人が語ってました(´∀`)

http://leaf-b.jp/staff/staff78.html より

8話

コメディな部分が多く出た話で、今までのシリアス加減とよいバランスになってます。
そんな中でも、多くのイベントを詰め込もうと取捨選択したり統廃合したりと、アニメスタッフの人の頑張りが見て取れます。
やっぱりこういうコメディなところだと、オボロが栄えますね。いや、戦闘で頑張ってない訳じゃないけど、他にも強い人がたくさんいるし。
ただ個人的に一番残念なのは、はじめの方でエルルゥが報告をするシーン。原作はこんな感じ。

【エルルゥ】「次に、『お姉ちゃんが寝言で笑ってた、ブキミ』とのこと‥‥ってなにコレ!?」
【エルルゥ】「ア〜ル〜ルゥ〜〜!!またこんなイタズラして!!」
アルルゥ】「あぅ!?」
【エルルゥ】「待ちなさい!!」
【エルルゥ】『コラ〜、待ちなさ―――い!!!』
【ハクオロ】「‥‥‥‥」
【ベナウィ】「では、これにて散会します。皆さん、本日も頑張って下さい」
『いゃあ、今朝も賑やかでありますなぁ』
『私など、あれがないと一日が始まった気がしなくて』
『いや、まったく』

確かにああいう場にアルルゥがいるのは不自然だし、そうするとアルルゥを追いかけ回すエルルゥの件もなくなるんだけど、この台詞、儀式張ったことをやっていても中身はとても素朴な感じの国だ、とか、こういうことが普通の日常として認められている、とか、こういう日々が続いている、とか、そういう平和な状況が見て取れる、とかで、とてもお気に入りのシーンだったのですよ。

9話

8話から一転してシリアスな話。
禁忌の爆薬、まるでニトログリセリンのようでした。これだと、オボロがどうやって持ち運んだのかがちょっと気になるところ。
戦略等々は原作通り。爆薬を仕掛けに忍び込むところを見せてくれたのは、よいですね。オボロの活躍シーンだし。また、関を防御する描写もよいです。クロウの活躍シーンをわざわざ作ってくれた感じだし。
エルルゥとアルルゥの、家族だからこそ全てを見ていきたい、という部分は、原作をさらにふくらませた感じでよいです。
そしてニウェ。いやー、声優のせいもあって、あんな状況でいきなり敵のまっただ中に飛び込んできても、燃えさかる砦の中に消えていっても、全て許せてしまいそうです。なにせ東方不敗