一人旅のススメ

で、今回も一人旅な訳ですが、別に相手がいないから仕方なく、とかではなく、一人で旅をしたいから一人旅なのです。
というわけで、一人旅の魅力とか、一人で温泉に入りに行くことを目的に旅する人のためのノウハウ(といってもそんなに大したものじゃないですが)を語ってみましょう。(以前、書くと言ってそのまま放っておいた文章のリサイクルだったり)
長いので、興味のある人だけどうぞ。

なぜ一人旅か

大勢で旅行に行くのは楽しいです。仲間同士で車に乗って、持ち込んだCDを合唱したり。宿にお酒を持ち込んで大騒ぎして、多人数でカードゲームやボードゲームに興じたり。徹夜した次の朝、みんなで眠りながら朝御飯を食べたり。
ただ、楽しいんですが疲れます。もちろん、それが目的の旅行ならそれでいいでしょう。ですが、温泉で疲れを癒すための旅行、というものも存在します。体を、そして何より、精神を癒すための旅行ですね。
そんな旅行では、仲間との人付き合いすら煩わしいのです。例えば、スピード狂の人の運転に肝を冷やしたり、とか。車の中で聴く音楽の趣味で揉めたり、とか。気持ち悪くなるほど酒を勧められたり、とか。ゲームに負けた人が刺々しくなったり、とか。徹夜の結果翌日の予定が大幅に変わったり、とか。何より、こういう状況でも場の空気を壊さないために「大人の対応をとる」ことが、特に疲れます。
こういった理由により、「一人でまったりと温泉に入って日頃の疲れを癒しにいこうじゃないか」、という一人旅を目指すのが、このテキストの趣旨になります。

どこの温泉にいくか

温泉につかりに行くのですから、どの温泉に行くのか、は重要です。重要なのですが、あまり遠くにも行きたくありません。行きはまぁいいとして、せっかく温泉で体を休めても、帰り道で疲れてしまっては元の木阿弥です。
また、観光は二の次です。旅行会社から各種パック旅行が発売されていますが、こういうのは観光が大きな目的になっているので、今一つ方向性が違って使えません。あちこちつれ回されて、疲れちゃうんですよね。もちろん、宿だけ決まっていてあとはフリー、というプランもありますが、こういうのは一人では受け付けてくれなかったりします。受けてくれても相部屋になってしまう、とかで、なかなか自分の条件に当てはまるプランを探すのは大変です。
ですので、自分は宿を直接予約しています。パック旅行に比べると確かに割高ですが、その分自由です。もちろん、宿も二人以上でないと泊まれないようなところがありますが、それに関しては後述。
僕はよく伊豆の方に行きますが、これは神奈川県在住の僕にとって移動が楽だから、というのが大きな理由ですね。ロマンスカーや特急を乗り継げば2時間くらいで行けるし。逆に東京より東の方に住んでいる人は、鬼怒川とかいいんじゃないでしょうか。
草津は新宿から高速バスが出てるので、車酔いに強い人はいいんじゃないでしょうか。それでも4時間かかりますが……。
あと伊豆は海に近い、というのも大きなポイントです。バリエーションに富んだ風景を楽しめる、とでもいうんでしょうか。そういうものが徒歩で楽しめる(特に移動手段に車という選択肢のない自分にとって)というのは重要です。

日程を考える

普通のサラリーマンの場合、土日で一泊というのが一般的なところでしょう。しかし「一般的」という事は「混む」ということです。それも有名なところほど。
例えば。電車の後ろの席で、酔っぱらいがくだを巻いている、とか。温泉で手足を伸ばそうと思っても、目先で子供が泣いている、とか。夜寝ようと思っても、隣の部屋から宴会の騒ぎ声が聞こえてくる、とか。観光名所に行くと人だらけで、昼ご飯を食べるにも行列して、とか。
というわけでお勧めなのはやはり、平日なのです。電車も道も空いてます。宿の温泉も貸し切りな状態になることも珍しくありません。広い浴場に自分一人だけ。人目を気にすることなく手足を大の字に伸ばしてつかる温泉は、また格別なものです。
いっそのこと、有給休暇をこういうところに使ってみるのはどうでしょう。確かにとりづらい雰囲気はどこの会社にもありますが、有休の行使は当然の権利なのです。「リフレッシュすれば、二倍働きますよ」などと言って上司を口車に乗せるタイミングを窺いましょう。……僕はそんなことしてませんよ、ええ。
もちろん、仕事が修羅場中に取るとかは、人としてどうかと思いますけどね。故意ではなくても「この仕事が終わった直後に行こう」とか計画を立てていたのに仕事が長引き、修羅場の最中に自分一人旅行に、などということになると、周囲の目も厳しいですよ、とても。……だから僕はそんなことしてませんってば、ええ。

移動手段

車が好きな人は車で、バイクが好きならバイクで行けばいいと思います。そういうことがストレス解消の一環にもなるでしょう。また、入りたい温泉が辺鄙な場所にある場合には、車が必須になる事もあるでしょう。
ただ車の人は、日程に気をつけましょう。一般的な休日や祝日にぶつかると間違いなく混みます。ハンドルを握る時間も長くなり疲労も溜まりますが、一人旅なので運転手を交代する相手もいませんし、愚痴る相手もいません。運転中眠くなっても、気を紛らわせる相手もいません。
今回の旅の目的は「温泉で癒されたい」ということにしているので、旅に出て疲れるのは本末転倒になると自分は考えてしまいます。ですので、車が好きだという人もこういう旅の時は電車での移動も考えてみて欲しいです。
あと電車のメリットとして、出発/到着時刻が決まっているので予定を建てやすい、ということもあります。もちろんトラブルが発生しなければ、ですが。
ちなみに僕はそもそも免許を持っていないので、電車での移動になります。それでも、場所選びに注意すればそれほど不自由なく温泉が満喫できますよ。

宿を選ぶ

温泉が決まったら宿を選びましょう。まず前提として一人で泊まれる宿を探すということになるのですが、これが結構重要だったりします。というのは、多くの宿は一人で泊まることが出来ないようなのです、デフォルトでは。最近はインターネットの発達で多くの旅館やホテルがWebにページを作っていますが、大抵の料金表は二人での宿泊分からです。もしかしたら直接宿に連絡を取って交渉すればいいのかもしれませんが、なかなか手間のかかることです。電話するまで料金も分かりませんし。
最近はネット上で、リアルタイムに空き部屋状況を見ながらの検索が出来ます。例えばじゃらんとか使えば、容易に目的の温泉、希望する日程に一人で泊まれる宿を探すことができます。他にもいくつか同様のサイトはあるので合わせて活用するのが賢いです。同じ宿泊プランでもサイトによって値段が違ったりすることもありますし。
ここから手持ちの予算と相談して好きな宿を選べばよいのですが、いくつか注意しておく必要があります。
まず、温泉。「掛け流し」と書かれていないと、たいてい循環です。循環だと規則か何かによって塩素が入っているので、塩素の匂いがします。まあ、塩素臭くてどうしようもないところから、注意してみればわずかに匂う程度のところまで差はありますが、そんなことは宿の人間に直接聞いても教えてくれることはまずないでしょう。
次に一人用の割増料金がいくらなのかも注意したいところです。通常、二人で一部屋に泊まる場合の一人分の料金に比べ、一人で泊まる方が高い料金が設定されています。色々見たところ、二人宿泊の一人用料金が一万円台の旅館では、5,000円割増位が一般的のようです。もちろん宿によってこの料金はさまざまで、これが一万円とか余分に取られる宿に泊まってしまうと、払った料金に比べて満足度が低いという結果に終わってしまいます。まぁ逆にいうとこういう宿は、多人数で泊まると驚くほど安くなったりもするので、グループ向きといえるのかもしれませんが。
料金に対する満足度、という点からいえば、休日等の特別料金も忘れてがいけません。これは宿や日程によって様々で、ゴールデンウィークや年末年始には驚くほど高い料金設定がされている場合があります。この特別料金+一人用割増料金で、全く宿のレベルとはつり合わない料金が表示されていることもあるので注意が必要です。「これだけ高い金を払うんだからいい宿だろう」と考えるのは、とても危険です。
あとは、クチコミ情報もチェックしておきましょう。宿の検索サイトには利用者が感想を書き込めるようになっていますので、まずはそこを見てみることです。とはいっても、内容を素直に信じるのは危険です。注意書きを読むと、管理側からは任意に書き込みを消せることが書かれていると思います。賞賛の書き込みしか書かれていないところは、宿によって不都合な書き込みが消されていることも考慮に入れる必要があります(もちろん、万人から賞賛されるようなすばらしい宿なのかもしれません)。
また、このクチコミに対する宿の反応にも注目すると色々分かります。やっぱり、投稿に対して真摯な返答が書かれていると好感度アップですね。逆に、全く返答がない、とか、改善点の提案に対して素人の浅知恵と決めつけるようなコメントを書く宿(実際にあったりするから怖い)は、泊まろうという気もなくなります。
あと宿の評判に関しては、宿の名前でgoogle検索してみるという手もあります。ブログ全盛の昨今、どこかの誰かが宿の感想を書いていることも十分にあります。けれど、これが実は結構大変な作業だったりします。検索結果の多くは上記のじゃらんのような検索サイトばかりで、望むような感想が埋もれてしまうのです。何か上手く絞り込みをかける方法はないですかねぇ……。
話が少しずれましたね。宿の情報について注意する点、ですが、電車の一人旅の場合に注意しなければならないのは、最寄り駅からの交通手段ですね。駅から離れている場合、送迎があるか、とかバスの運行状況はどうか、とかも調べておく必要があります。多人数なら気軽にタクシーを割り勘で、となるかもしれませんが、何せ一人旅。タクシーはかなり割高です。お勧めは、グーグルマップを使って、宿付近の地図を見てみることですね。Ezナビウォークを使える人は距離や道順が分かるので併用すると効果的です。車での移動は大変でも、徒歩で歩くと以外と近かったりすることもあります。そういう時は、いっそのことハイキングだと割り切って歩いてしまうのも良いです。体を動かしてかいた汗を温泉で流し、失った水分をビールで補給するというのも健康的でおつなものです。こういう健康的な疲れと癒しは、日常生活の精神的疲れとは違って良いものですよ。

全体的なタイムスケジュールを考える

泊まる宿を決める時にもう一つ確認しておかないといけないのが、チェックイン・アウトの時間です。せっかく高いお金を払って宿に泊まるんですから、宿には目一杯滞在したいもの。なら、チェックインもチェックアウトもぎりぎりに行うようにスケジュールを調整するのがよいでしょう。
とはいっても、チェックインの時間ぎりぎりの電車を乗ろう、というわけではありません。例えば15時チェックインなら、12時頃に最寄り駅について、地元の食事処でお昼を食べ、駅の近くにある観光名所の一つも廻って汗を流し、15時にチェックインしたら即、温泉で汗を流す、とか。
こうした時に食事処とか名所に行っておくと、それとなく観光旅行もしたような気分にになるし、あとで困ることもないでしょう。例えば会社で何か聞かれたとき、とか。話を聞きたがる人はどこにでもいるものです。一日温泉に入って寝ていた、というより、有名な地名の一つも出して話をすれば大抵満足してくれます。ついでに、おみやげ品も見繕っておけば完璧ですね。このおみやげも凝ったものである必要はありません。ありきたりな温泉まんじゅうのように、味に当たり外れがなくて無難なものがよいです。こうした土産物見繕う時間も考慮に入れる必要がありますのでお忘れなく。

持って行った方がいいもの、行かない方がいいもの

さて、持っていった方がいいものとしては、お金とか着替えとかあまりに当たり前なものがまず出てきます。
僕が旅行でよく使うのは、携帯電話ですね。とはいっても電話をかけるために使うことはほとんどなく、小型情報端末としての利用が主です。現在位置の確認、最寄りの店の検索、電車の時刻と乗り継ぎの確認等々。特に僕は歩いて移動するのですが、Ezナビウォークに頼りきっていますね。このため電池の消耗も早いので、充電器は必須です。
では逆に持っていかない方がいいもの……というより、僕が今まで温泉旅行に持っていったけど使わなかったものをあげてみましょう。
まず、ゲーム類。いやほら、せっかくだから積みゲーを崩そうと、ノートパソコンにインストールして持っていくんですよ。でも、遊んだ試しがありません。ノートパソコン自体は日記を書きとめておくのに使ったこともありますが、W-ZERO3のように小型でテキスト入力可能なデバイスがあると、ノートパソコンは全く出番がなくなります。
余分な着替えもいりません。どうも僕はいつも、持っていったうちのシャツ1枚とかを結局着ずに終わらしてしまいます。これが結構かさばるんですよね。いざとなれば、適当に洗濯すればいいんですしね。

最後まで目的を忘れずに

準備は以上で終了。後は予定通りに旅行をするだけ……なのですが、ここで一つ覚えておきたいのが、初志貫徹、ということ。いや、単にこの旅行の目的は「温泉に入って日頃の疲れを癒す」ってことです。
実際に旅行をしてみると、思ってもみなかったことが突発的に発生します。スケジュール通りに物事が運ばなかったりします。そんなときは、初心通り、日頃の疲れを癒すと言うことを念頭において、臨機応変に行動しましょう。
じゃあこの準備作業はいったい何なのか、といわれそうですが、前にも書きましたが自分の行動理念として、「計画は悲観的に、行動は楽観的に」というのがあるからだったりします。計画をある程度きっちり作っておけば、行動中は楽観的にいられる、ということでもありますか。
備えあれば憂いなし、ということで、楽しい温泉旅行をしようじゃありませんか。